中国不動産の新たな章:紅星美凱龍創業者、失脚の兆候か
上海に広がる紅星美凱龍の本社ビルは、一人の男の野心の記念碑としてそびえ立っています。その男とは、大工からビリオネアに転身し、小さな家具工房を中国最大のホームセンター帝国へと変貌させた車建興氏です。しかし先週、この小売巨大企業の立役者が当局に身柄を拘束され、彼のビジネス帝国の将来に暗い影を落としています。
5月13日、紅星美凱龍は、創業者で総経理の車建興氏(59歳)が雲南省監察委員会の調査対象となり、身柄拘束措置が取られたと発表しました。同社は、調査に関する正式な書面通知を受け取っておらず、車氏の家族からこの拘束を知ったとのことです。
紅星美凱龍の業績概要(上海)と車建興氏の役割
項目 | 詳細 |
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会社設立 | 2007年に車建興氏が設立。1986年に開始した以前の事業が発展した。 |
上場 | 香港(2015年)、上海(2018年)。30億人民元以上を調達。 |
売上高ピーク | 約155億人民元(2021年)。 |
直近の売上高 | 約115億人民元(2023年)、約78億人民元(2024年)。 |
純利益 | 2022年は黒字。2023年は22.2億人民元の損失、2024年は29.8億人民元の損失。 |
株価(上海) | 約2.91人民元(2025年5月)。52週間レンジ:2.02~4.45人民元。 |
株価(香港) | 約1.37香港ドル。52週間安値:約1.05香港ドル。 |
事業内容 | モール運営、建設・デザイン、商品販売、サービス。 |
創業者 | 車建興氏 - 元大工。全国に400以上の店舗を展開するまでに成長を牽引。 |
所有権の変更 | 2023年に国有企業である厦門建発に経営権を売却。車氏は会長を退任。 |
最近の動向 | 2025年5月、車氏が調査のため拘束される。会社は事業運営に影響はないと発表。 |
大工の作業台から小売の王座へ:帝国の驚異的な台頭
車氏の歩みは、中国の改革開放初期を象徴する、貧困から富豪への立志伝そのものです。1980年代初頭に謙虚な大工としてキャリアをスタートさせた彼は、1986年に借金をして最初の家具工房を設立しました。1991年までには、常州市に最初の紅星家具城を設立し、「前店舗・後工場」というモデルを先駆けて導入。これが中国の家具小売を変革することになります。
「初期の紅星モデルは、当時としては革新的でした」と、同社を数十年間追ってきたある小売アナリストは説明します。「車氏は自社の工場で家具を売るだけでなく、複数のブランドが一つの屋根の下で製品を展示できるプラットフォームを創り出し、消費者にこれまでにない選択肢を提供したのです」。
このビジョンは、1994年に「常州紅星美凱龍」を設立し、江蘇省で最初の家具企業グループを立ち上げたことで具体化しました。同社の拡大は急速に進み、中国全土に大型店舗を開設し、200