NVIDIAとAMD、米財務省との異例の中国売上15%契約の内幕

著者
Amanda Zhang
6 分読み

アクセスの代償:アメリカはいかにして技術的優位性を収益化したか

中国向けAIチップ輸出に対する15%の売上税は、重要技術における自由貿易の終焉を告げるものだ

カリフォルニア州サンタクララ発 — 世界の人工知能革命の多くを牽引するNVIDIAの輝かしい本社で、経営陣は前例のない現実に直面している。彼らの会社が米政府の徴税人になったのだ。

カリフォルニア州サンタクララのNVIDIAの未来的な本社。世界のAI産業の中心地。(officesnapshots.comより)
カリフォルニア州サンタクララのNVIDIAの未来的な本社。世界のAI産業の中心地。(officesnapshots.comより)

8月11日にフィナンシャル・タイムズが報じたこの事実は、アメリカが技術力をいかに行使するかにおける根本的な変革を露呈している。NVIDIAとAMDは今後、中国関連のAIチップ売上の15%(年間で数十億ドルに上る可能性)を、輸出特権と引き換えに米財務省に納めなければならない。この「サービスとしての主権(sovereignty-as-a-service)」モデルは、単なる政策転換ではなく、技術的依存そのものの兵器化を意味する。

国境なきイノベーションの約束の上に築かれてきた業界にとって、この取り決めは哲学的な深い断裂を意味する。かつてシリコンが市場の力学と卓越した技術力によって流通していた場所で、今や政治的計算が技術へのアクセスを決定し、その過程で「貢物」を徴収するようになったのだ。

デジタル恐喝の構図

H20チップは、この地政学的舞台の中心にある。輸出規制によりNVIDIAの主力モデルへのアクセスが不可能になった後、中国の顧客向けに特別に設計された、妥協の産物でありながらも技術の粋を集めた製品だ。141GBのHBM3メモリと148TFLOPSの演算能力を持つこれらのプロセッサは、ハイエンドサーバー構成で110万円(15万ドル)以上するが、政府の課徴金が価格に上乗せされても、需要は供給を上回り続けている。

このチップの市場投入までの経緯は、技術ガバナンスがますます恣意的になっていることを示している。当初2025年4月に販売がブロックされたH20は、ジェンスン・フアンCEOの集中的なロビー活動(当時のトランプ大統領との3ヶ月で3回の会談)を経て、最終的にこのレベニューシェアリング(売上分配)の仕組みを通じて市場アクセスを確保した後にのみ承認された。

「サービスとしての主権(Sovereignty-as-a-Service)」とは、国家が自国の重要なデジタルインフラを外国のテクノロジープロバイダーにアウトソーシングし、依存状態を作り出すモデルである。この関係は地政学的に武器化されうる。なぜなら、顧客国家が自国のデータやデジタルな未来に対する管理(デジタル主権)が危うくなり、プロバイダーの影響下に置かれるからだ。

この一連の動きは、国家安全保障の論理に懸念すべき矛盾があることを示している。もしAIチップが輸出禁止を正当化するほど深刻な存続の危機をもたらすのであれば、その販売を15%の利益と引き換えに許可するという決定は、根本的に問題があるように見える。業界関係者は、この取り決めを、規制という名の言葉で飾られた「みかじめ料」とますます特徴づけている。

「我々が目の当たりにしているのは、原則に基づいた貿易政策が、粗野な利権漁りへと崩壊していく様だ」と、この取り決めに対する政治的配慮から匿名を希望した半導体業界の幹部は語った。

イノベーションが「貢物」となる時

このレベニューシェアリングの仕組みは、アメリカのテクノロジー企業を、市場の競争相手から、政府の徴収活動における仲介者へと変貌させる。この根本的な役割の変化は、四半期決算報告をはるかに超える意味合いを持つ。

2024年に中国事業から推定180億ドルを計上したNVIDIAにとって、年間政府への「貢物」は27億ドルに迫る。これはわずか5年前の同社の研究開発予算全体に匹敵する額だ。この強制的な支払い構造は、従来の財務モデルでは定量化が困難な新たな種類の事業リスクを生み出す。

NVIDIAの中国売上に対する年間推定27億ドルの課徴金と、過去の研究開発費の比較。

会計年度研究開発費(10億ドル単位)中国事業売上に対する年間推定課徴金(10億ドル単位)
2025年129.14億ドル27億ドル
2024年86.8億ドル27億ドル
2023年73.4億ドル27

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