Dycom Industries、買収主導で2026年度第1四半期に好調な業績を報告
建設・エンジニアリング大手、業界の課題とコスト上昇を乗り越え、売上高が10.2%成長
電気通信業界向けの専門契約サービス大手であるDycom Industries, Inc. (NYSE: DY) は本日、2026年度第1四半期の好調な業績を発表し、契約売上高は12億5,900万ドルに達しました。競争の激しいインフラサービス業界において、同社の戦略的な買収が大幅な成長を牽引する一方、業界全体が直面する課題への対応も続けています。
業界の変化の中で売上高が二桁成長
Dycom Industriesは、2026年度第1四半期の契約売上高が12億5,900万ドルだったと報告しました。これは、2025年度第1四半期の11億4,200万ドルと比較して10.2%の大幅な増加です。しかし、詳細な分析によると、この増加額のうち1億1,190万ドル(8.9パーセントポイント)は買収による成長であり、これらの買収分を調整した後の本業での売上高成長はわずか0.7%にとどまっています。
この専門工事会社は、調整後EBITDAが1億5,040万ドルとなり、前年比で14.9%増加しました。利益率は11.5%から11.9%にわずかに改善しています。純利益は6,100万ドル(希薄化後1株当たり利益2.09ドル)となり、前年同期の6,260万ドル(1株当たり利益2.12ドル)とほぼ横ばいでした。利益のわずかな減少は、主に株式報酬による税務上の利益が減少したこと(2025年度第1四半期の590万ドルに対し、220万ドル)を反映しています。
投資家や業界アナリストにとって最も心強い点かもしれません。Dycomは2025年4月26日時点で過去最高の受注残高81億2,700万ドルを報告しました。これは、同社の電気通信および公益事業インフラサービスに対する引き続き強い需要を示しています。また、同社は株主還元策も継続し、当四半期中に平均150.93ドルで20万株を買い戻し、合計3,020万ドルを使いました。
これらの好調な業績と前向きな見通しに基づき、Dycomは通期売上高見通しを以前の51億7,000万ドルから52億7,500万ドルの範囲から、52億9,000万ドルから54億2,500万ドルの範囲に引き上げました。この最新のガイダンスは、同社の継続的なM&A戦略と、2026年度が通常の52週ではなく53週であること(1週間追加されること)の両方を反映しています。
主なポイント:買収戦略が本業の成長鈍化を覆い隠し、貸借対照表への懸念も
- 買収主導の業績: 売上高の全体的な成長は10.2%と力強く見えますが、本業の成長はわずか0.7%でした。これは、Dycomの事業拡大が本業の成長よりも買収に大きく依存していることを示しています。
- 過去最高の受注残高と注意点: 81億2,700万ドルの受注残高は将来の需要にとって重要なプラス指標ですが、本業の成長が最小限にとどまっていることは、この受注残高が既存顧客との関係拡大よりも、最近買収した契約に大きく偏っている可能性を示唆しています。
- レバレッジ上昇の懸念: 現金および現金同等物は、1月31日時点の9,270万ドルから4月26日時点で1,610万ドルに劇的に減少しました。一方、総負債は9億4,320万ドルから10億3,260万ドルに増加しました。この多額の現金減少は、主に買収と自社株買いによるものであり、負債資本比率(借入金に対する自己資本の比率)を上昇させています。
- 利益率への圧力: 経営陣が価格決定力について言及しているにもかかわらず、調整後EBITDA利益率は前年比でわずか40ベーシスポイントしか改善しませんでした。これは、労働力や資材コストの上昇が価格上昇効果を相殺している可能性を示唆しています。
- 会計期間の歪み効果: 2026年度は53週(追加の1週は第4四半期)であり、これにより通期の売上高見通しが年間を通じて均一な事業を仮定すると約2%押し上げられます。
詳細分析:インフラ市場の動向とDycomの戦略的位置づけ
Dycomの第1四半期業績は、より広範な電気通信および公益事業インフラ市場のトレンドを示す窓口となります。同社の業績は、経済の不確実性にもかかわらず需要を引き続き牽引している、ファイバー・トゥ・ザ・ホーム(FTTH)構想や5Gネットワーク構築の継続的な拡大を反映しています。
減価償却費および償却費の劇的な増加(前年比で4,520万ドルから5,840万ドルへと29%増)は、多額の設備投資と最近買収した無形資産の償却を示しています。この償却の加速は、今後の四半期におけるGAAPベースの利益に影響を与える可能性がありますが、同時に税務上の利益をもたらす可能性もあります。
Dycomの買収戦略は、サービス提供地域と能力を拡大しつつ、即座の収益を追加することを目的としているようです。しかし、このアプローチには統合リスクが伴い、中核市場における潜在的な競争圧力を覆い隠す可能性があります。本業の成長が最小限にとどまっていることは、競争の激しい環境で既存顧客との取引拡大に苦慮している可能性を示唆しています。
特に注目すべきは、貸借対照表の変化です。現金の急激な減少と負債水準の上昇は、市場環境が悪化した場合に財務上の柔軟性を制限する可能性があります。現在の金利は安定していますが、Dycomのレバレッジの上昇は、今後の金利上昇や業界の低迷に対する脆弱性を高めます。
労働市場の動向も、Dycomのような専門工事業者にとっては引き続き困難です。利益率がわずかに改善した(40ベーシスポイント)ことは、同社が今のところこれらの圧力にうまく対応していることを示唆していますが、継続的な賃金インフレは、生産性の向上や価格引き上げによって相殺されない限り、今後の四半期で利益率を圧迫する可能性があります。
Dycomのガイダンスから欠落しているのは、2025年度第4四半期の業績を押し上げた1億1,420万ドルの暴風雨復旧サービスです。この2026年度見通しからの意図的な除外は、前年同期との比較を複雑にし、今後大規模な暴風雨が発生した場合、特に会計年度の追加の1週間が、歴史的に天候の影響を受けやすい第4四半期に当たることを考慮すると、将来の四半期で潜在的な変動を生み出す可能性があります。
知ってましたか? デジタル経済におけるDycomのインフラ整備の役割
- 光ファイバーネットワークの拡大: Dycomは、米国のデジタルインフラ構築において重要な役割を果たしており、同社のサービスは、全米で高速インターネットアクセスを拡大するためのバイデン政権による420億ドルのBroadband Equity, Access, and Deployment(BEAD)プログラムを直接支援しています。
- 環境イニシアチブ: 伝統的に高い排出量と関連付けられる建設・エンジニアリング分野で事業を行っているにもかかわらず、Dycomは持続可能性において実質的な進歩を遂げています。2024年度には温室効果ガス排出原単位を4.7ポイント削減し、2023年度の52.4から48.7に改善しました。
- デジタルトランスフォーメーション: Dycomはサーバー容量の99%をAWS(Amazon Web Services)に移行しました。AWSは2025年までに再生可能エネルギー100%を目指しており、これは同社が運用効率を高めつつカーボンフットプリントを削減することへの取り組みを示しています。
- 市場での位置づけ: Dycomは現在、インフラサービス市場において約12.7%の市場シェアを占めています。より大きなプレーヤーであるMasTec(市場シェア18.5%)やQuanta Servicesと競争しており、この業界は断片化されているものの統合が進んでいます。
- 資材コストの変動: 同社の事業は、資材コストの大きな変動から直接影響を受けます。銅ケーブル価格は2023年から2024年にかけて27.4%上昇し、鋼製電線管は同じ期間に19.6%の価格変動を経験しました。
Dycomが前進する中で、投資家や業界関係者は、同社が増加したレバレッジを管理し、買収を効果的に統合し、技術進歩や変化する規制の枠組みとともに進化し続ける複雑な電気通信インフラ環境を乗り越えつつ、成長軌道を維持できるかどうかに注目するでしょう。