ブルックフィールドとブルーム・エナジーが提携、AIブームを支える50億ドルの計画
シリコンバレーはアスリートがアドレナリンで動くように電力で稼働しているが、近年その両方が不足している。10月13日、テクノロジーとエネルギー業界に大きな波紋を呼ぶ動きがあった。5,500億ドル以上の資産を管理する世界的なインフラ大手ブルックフィールドは、燃料電池の革新企業ブルーム・エナジーと提携し、大規模な「AI工場」を建設するために50億ドルの契約を締結した。これらは単なるデータセンターではない。人工知能の飽くなき需要を満たすために特別に構築されたハブなのだ。
この提携は単なる象徴ではない。ブルックフィールドの新たなAIインフラ戦略を正式に始動させるものであり、発電、コンピューティング能力、資本をシームレスなエコシステムに統合しようとする野心的な試みだ。老朽化した電力網に依存するのではなく、ブルーム・エナジーはモジュール式の固体酸化物形燃料電池を展開し、電力のオンサイト発電を直接行う。サーバーのすぐ隣で、天然ガスを電力に変換する静かな発電ボックスを想像してほしい。電力網の承認を待つ必要もなく、送電の遅延もない。ブルーム・エナジーのCEO、KR・スリダー氏は要点を突いてこう述べた。「AIインフラは、目的意識、スピード、スケールを持って工場のように構築されなければならない」。彼は、従来の電力システムではもはや追いつけないと主張した。
その緊急性は現実のものだ。アナリストは、米国のデータセンターの電力需要が、現在の35ギガワットから2035年までに最大123ギガワットへと3倍以上になる可能性があると予測している。生成AIモデルは、警告なしに急増するトレーニング実行中に電力を大量に消費する。Googleのようなテクノロジー大手は、すでにブルックフィールドと数十億ドル規模の再生可能エネルギー契約を締結している。彼らは、必要な時にギガワット単位のエネルギーをすぐに供給できるキャンパスを求めている。しかし、電力網の動きは遅い。系統接続の待機列は何年も続き、送電網のアップグレードは遅々として進まない。建設業者は待てないのだ。彼らは2030年ではなく、数ヶ月で電力を必要としている。
その点で、オンサイトエネルギーは状況を一変させる。
ブルックフィールドのAIインフラ部門を率いるシカンダー・ラシッド氏は、オンサイト発電を「電力網のギャップを埋める」上で不可欠だと呼んでいる。この契約に基づき、ブルームはブルックフィールドにとって優先的な燃料電池プロバイダーとなり、世界中でプロジェクトを展開するために最大50億ドルが割り当てられる。ヨーロッパの主要なサイトの一つは、年内に着工する予定だ。おそらく天然ガスが豊富で許認可が取得しやすい地域になるだろう。ブルックフィールドはデジタルインフラに精通している。同社はコンパス・データセンターズ、デューク・エナジー・フロリダ、その他電力集約型資産に大規模な株式を保有している。一方、ブルームはすでにエクイニクス、オラクル、アメリカン・エレクトリック・パワーの施設に電力を供給している。両社は現状と、その裏にある利害関係を熟知しているのだ。
ウォール街もこれに注目した。ブルーム・エナジーの株価は急騰し、1日で30%近く上昇した。10月13日の終値は109.91ドルで、前取引終値から23ドル以上の上昇だった。一時、価格は日中88.82ドルからほぼ118ドルまで急騰した。投資家はもはやブルームを単なるクリーンエネルギー企業とは見ていなかった。彼らはAI電力の基盤と見なしたのだ。
燃料電池には大きな利点がある。モジュール式なので、建設業者は小規模から始めて必要に応じて拡張できる。AIの絶えず変化する負荷に迅速に対応する。バッテリーと組み合わせると、信頼性が向上し、停電を回避できる。何よりも、電力会社の系統接続に伴う煩わしい遅延を回避できる。「数ヶ月単位であり、数年単位ではない」とあるアナリストが的確に表現した。開発者はパイプラインがある場所ならどこでも建設できる。将来的には、これらのシステムは水素を混合して排出量を削減することも可能になるだろう。
しかし、この道筋はリスクがないわけではない。天然ガスは依然としてCO2を排出する。ディーゼルよりはクリーンだが、環境規制の目は厳しくなっている。新たなメタン排出規制や毎時の炭素排出量報告義務は、運営を複雑にする可能性がある。ガス価格の変動は利益率を圧迫するかもしれない。人口密度の高い欧州市場での許認可は、地元住民の反対を引き起こす可能性がある。そして競合他社も虎視眈々と狙っている。ガスタービン、小型モジュール炉、長期電力購入契約など、誰もがAIキャンパスに確実でオンデマンドの電力を供給しようと競争しているのだ。
この競争において、真の通貨はメガワットではなく、時間なのだ。
AI企業は、燃料電池を信頼性の高いベースロード電力に、バッテリーを急増する需要に、そして電力網をバックアップとして利用するハイブリッドエネルギー戦略を採用する可能性が高い。顧客が電力網から離脱すれば、電力会社は収益を失う可能性があるため、迅速なエネルギー料金制度や共同マイクログリッドパートナーシップで対抗するかもしれない。政策が状況を一変させる可能性もある。米国の水素税額控除やEUの持続可能性規制は、プロジェクトを加速させるか、あるいは停滞させるかもしれない。ある業界関係者はこれをうまく要約している。「真の製品はカレンダー上の時間だ」。サーバーが到着する前に電力を供給できる者が勝つ。
予測はすでに具体化しつつある。2026年半ばまでに、少なくともあと2つの主要なインフラ企業が、天然ガスから水素への移行を組み込んだAIエネルギープラットフォームを立ち上げると予想される。新たな契約には、燃料連動型価格設定や、時間単位で調整された低炭素保証が含まれる可能性が高い。ブルームの将来の成功は、このブルックフィールドとのパイプラインにかかっている。2027年までにサービス契約と水素の試用を注視してほしい。
結局のところ、この提携は単なるもう一つの取引ではない。それはAI時代の最も喫緊の課題の一つを解決しようとする大胆な試みだ。つまり、電力網が追いつかない中で、いかにして地球規模の知能に電力を供給するか、という課題だ。ブルックフィールドとブルームは、その答えは工場のように、迅速で、柔軟で、そして徹底的に独立した電力供給システムを構築することにあると信じている。
もし彼らが成功すれば、次なるAIの波は彼らが築いた基盤の上に立ち上がるだろう。もし彼らがつまずけば、電力網の限界がイノベーションに長い影を落とすことになる。
現時点では、明かりはまだ灯っている。そして未来に電力を供給するための競争は、すでに正式に始まっている。
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